洗い出しの玄関土間は、黒い那智石だけを選んでシックに仕上げた。和紙を練り込んだ京聚楽（じゅらく）壁を採用するなど、伝統技術をバランスよく取り入れ、美しい和の空間を生み出している。必要に応じて手すりを取り付けられるように、壁の下地までしっかり考慮されているのがポイント

ロフトまでの吹き抜けが明るさを生むリビングダイニングは、自然素材と全館空調のぬくもりを感じられる場所。30mm厚を誇る無垢アカマツの床と、その下を流れる快適な空気に包まれているような感覚に。暮らしに合わせて『瀧口建設』が造作したTVボードや収納もなじむ

8寸と5寸の夫婦柱が支える住まいは、建物自体がアート作品のよう。スギの一枚板でつくられたダイニングテーブルや、旧家で使っていた茶だんすが映える

玄関ホールから土間とリビングの両方へつながる間取りは、行き止まりがなく動線がスムーズ

ガルバリウム鋼板のモダンな外壁にレッドシダーをあしらった外観。土間から直接庭に出られるため、ご主人が自由に行き来してガーデニングを楽しんでいる

奥さまの趣味部屋でもある4.5畳の和室。『瀧口建設』にオーダーした建具は、希少な葛布を活用したもの

障子付きの収納を備えた寝室。「夜トイレに目覚めても、家中が暖かいので辛くなくなりました」とHさん夫妻

全館空調「パッシブエアコン」で一年中ゼロエネルギーの快適な暮らし

日本の伝統技術である真壁づくりでは、木材が壁の中に隠れないので、常に木が呼吸をすることができ、長持ちする

伝統的な真壁仕様の和室は珪藻土壁。畳はイグサではなく耐久性の高い和紙おもて畳を採用。床の間の黒い柱がアクセントになっている

和とモダンが程よく調和した外観デザイン 。外壁のデザインはもちろん耐久性にも優れた塗り壁を採用。木ずり下地に砂漆喰を塗り込み、最後にこの土地の土を塗って仕上げている

棚や引き出し付きの机はご主人の手によるもの。壁には下地だけ入れてもらい、金具の取り付けから板の加工まで、好きな雰囲気・使いやすさに仕上げた。テレビの下や玄関の棚も同様に。断られる会社もある中、同社は快く応じてくれたそう

日本建築伝統の真壁づくりを標準採用。柱や梁が常に空気に触れて呼吸しているため、季節に応じて湿度を調整してくれる。家の劣化原因となる壁体内結露も防いでくれるので、カビやダニの心配がなく、建物自体が長持ちする

『カネタケ』の技術の高さを物語る書院造りの和室。床の間や書院棚、雪見障子など、設えの１つ１つに「侘び・寂び」の精神が息づいている。建物の壁の下地はすべて日本古来の「竹小舞土壁」仕上げ。調湿性にすぐれ、壁内結露を防いで年中快適な空間を保つだけでなく、構造体の強度も増す

LLDKでひときわ目を引く勾配天井は、色目がきれいなツガの板張りで仕上げた。リビングの正面は質感のある塗り壁とし、天井に仕込んだ間接照明が美しい陰影を描くとともに、空間に奥行きを生み出す効果も。カーテンの代わりに和紙風の素材を使ったブラインドは、断熱効果のあるハニカム構造。ブラインドを下ろしていても優しい光が室内を満たす。「収納棚は可動棚にするかなど、こちらが気づかない点もちゃんと確認してくれ、安心して任せられました」とご主人