F邸は周囲の住宅にはないセンスを放ち、住まい手が大切にしたことが伝わってくる一棟だ。会社選びの決め手は、「どこにもない家を創りましょう」という佐藤社長のひと言。玄関ドアの先にも“この家だけ”の空間が広がり、約束は見事に果たされた。キャップやバッグが掛けられた有孔ボードの背後には、半地下のシューズクローク。鉄骨階段が架かる吹き抜け空間は、屋外への動線も有し、キャンプ用品や自転車の出し入れもしやすい。ホールから見えるドアはテーマカラーのグリーンに。1枚1枚微妙にトーンを変えながら枠の部分まで塗り上げることで、ほどよいポップさが空間に溶け込む。LDKの主役は造作のキッチン＆ダイニング。オイル仕上げの無垢、アクセントの塗り壁、一部が勾配になった天井により、洗練と落ち着きがブレンドされる空間が完成した。「気合いが入りすぎてしまったんですが、内山さんがデザインとコストのバランスを整えてくれました」とご主人。個性的なデザインを叶えつつ、住まい手の雰囲気やライフスタイルにここまでフィットする家はそうはない。