ベースとなる建物も要望も、家族ごとに異なるリフォームは、成功させるのが難しい。だからこそＯさんは、パートナー選びにこだわった。条件は「クギを打ってくれる人と話ができること」。手刻みの家づくりに定評があり、〝一緒につくる〞姿勢が伝わってきた『石牧建築』に依頼を決めた。まず印象的なのは、そのたたずまい。よそで断られた外壁の鎧張りや日本霧除けが叶い、希望した和の風情が実現した。二間続きの和室だったＬＤＫには、築40年の建物とは思えぬ開放感とモダンさ。浮造りの床と漆喰の壁が、大らかな空間にぬくもりと清々しさを溶け込ませている。使い勝手まで意識した収納や北側の部屋への明かり採りの設置など、暮らしやすさへの配慮も十分だ。適切な診断と工事により耐震性、断熱性も大幅にアップ。愛着をそのままに、家族の時間を末長く育んでくれる一棟が完成した。