H邸の2階リビングに足を踏み入れると、吹き抜けの傾斜天井を覆う天竜杉、足裏に優しい感触を与える天竜ひのきに圧倒された。階段上のロフトからは、子どもたちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。「シンプルで居心地の良い家を作りたい。その思いを高田さんが形にしてくれました」。そう語るご主人が注力したのが、無垢の木を使うこと。天竜材の構造はもちろん、1階の両親世帯とを繋ぐ階段や扉、窓枠まで徹底して木にこだわった。「100 枚以上の杉板の色味を比べ、天井に張る順番を選ばせてもらうなど、納得するまで付き合ってもらえて満足しています」とご主人。理想通りに完成した住まいは、無駄のないデザインと木の温もりのバランスが心地良い。ロフトから降りてきた子どもたちは、出産間近の奥さまのお腹に話しかけたり、両親世帯のリビングへ移動したりと、裸足で家中を駆け回る。無垢材が彩る空間が、家族を温かく結びつけていた。