静岡県中部
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「靴と古着のための家。ほかには見どころがないかもしれないですよ(笑)」。そういうSさんに招かれて玄関にはいると、シューズクロークにはゆうに100足を超えるスニーカー。2階のウォークインには新品にはない味わいをまとう洋服たちが、まるで裏通りにあるショップのように並ぶ。手に入れたお店やグッときたポイントを楽しそうに話してくれるおふたりの姿を見ていると、なんだかこちらもうれしい気分になる。秋田出身のご主人が奥さまと出会ったのも、静岡の古着屋さん。「仕事で全国を転々としてきたので、“家をもつ”というイメージがなかったんですよ。でも静岡は気候も人もよくて、建てるならここだなと思ったんです」。そんなご主人が家づくりで大切にしたことが、2つあるという。
まずは、信頼のおける大工さんが建ててくれること。土木工事の現場監督を務めるご主人は、職人によって仕上がりに大きな差が出ることを身に染みて実感。責任をもって仕事をしてくれる、自社大工のいる会社を希望した。もうひとつは、自分たちが思い描く“いい感じ”を理解してくれること。「自然素材だからOK、洗面台が造作だから合格というわけではなくて。もっている雑貨や絵がスッとなじむ雰囲気になるかどうか」を重要視したという。その言葉の通り、S邸には無垢と手仕事によって叶えられた、おふたりに“似合う”空間が広がる。「キッチンから家族を見渡せるようにお願いしました」と奥さまがいうLDKは、開放感とくつろぎ感のバランスが見事。友人から「“こんなの見つけたけど、どうする?”なんてLINEが送られてくるんですよ」というご主人のカモグッズや、奥さまのアメリカン雑貨が、この家だけの空気感をつくり出す。年代物の照明やスイッチ類も、あたたかみに貢献。冒頭、ご主人は謙遜したけれど、おふたりのセンスが細部にまで溶け込み、それが居心地のよさにつながっている。
撮影時にはふたり暮らしだったが、2か月前に男の子が誕生し、にぎやかな毎日が続く。ウォークインを案内してくれたとき、ご主人と奥さまの洋服のあいだに子ども服がチラリ。これから少しずつ、小さなハンガーが増えていくことになりそうだ。
無垢のぬくもり、吹き抜けの開放感、そしておふたりがセレクトしたアイテムの味わいがブレンドされ、ほっとする時間が流れる
玄関は土間仕立て。シューズクロークは右手にも続き、ベビーカーやアウトドア用品もたっぷり収納。壁は調湿・消臭効果に優れるホタテ漆喰
光と風が差し込む、居心地のよい室内。階段はお気に入りを集めたギャラリースペースに
モザイクタイルが貼られたワイドな洗面台は、雰囲気も使い勝手も大満足
外観は深い軒と吊りデッキが印象的。ベンチを備えたウッドデッキが内と外をつなぐ
Tシャツからコート、帽子、バッグまでお気に入りがズラリ。実際に洋服を置いたり掛けたりして、棚の間隔やハンガーパイプの高さを決めた
2階の読書スペースは、家族が自然に交差する場所に
ご主人チョイスのグッズや絵はカモがモチーフのものだけ。住まいへの要望もシンプルで明確
30代のご夫婦と2か月の男の子の3人家族。ご夫婦の趣味は古着屋さん、スニーカー屋さん、ちょっとレトロな雑貨屋さんめぐり。知人が建てた家の雰囲気に魅かれ、いくつもの候補から依頼先を決定。
吉田町出身。静岡大学工学部卒業後、医療用具メーカーにて製造マシンの設計・製作に従事。ある事故をきっかけに、“うれしさの近くにある仕事”をと考え、2002年にデイクリップをスタート。