明治時代に建てられた築124年の平屋をリノベーションしたS邸。「祖父が幼いころから暮らしていた離れを取り壊すのは悲しい」という奥さまの想いに寄り添い、家族の歴史と思い出の詰まった建物をいまの暮らしに合わせて生まれ変わらせた。柱や梁、調湿効果のある土壁は残しつつ、構造用合板などで補強して耐震性と断熱性をアップ。一方、間取りは大きく変え、ウォークインクローゼット付きの寝室や、対面式キッチンのリビングダイニング、ロフトなども配置した。天井板を外して梁を見せ、開放感を演出しているのも魅力のひとつ。また、構造上、取り外すことができない壁や柱を活用して生まれたリビング収納も機能的で使い勝手がいいという。床間の板を再利用してダイニングテーブルを造作したり、千本格子をカーテン代わりにしたり。古き良きものを修繕して蘇らせ、快適に暮らせる味わい深い住まいを完成させた。